経験不問
新卒で入った職場を13年勤めてから辞めた。
理由としては、一生この職場にいることはできないし、わたしのすぐ下の同僚は5歳以上下で、なんとなく居づらくなってきていたのが大きかった。
年齢のわりにしっかりしていない自分に対し気遣ってくれる優秀な後輩たちばかりだったが、情けなさは常に感じていて、純粋に鈍感で天然な馬鹿だったらずっと続けられたと思うけど、鈍感だが気がついちゃうし馬鹿だけど天然じゃないわたしはこれ以上は無理と思って辞めたのだ。
だがアラフォーの一人暮らしはさすがにヤバい。失業保険が貰えるギリギリまでは好きなことをしてゆっくり過ごしたが、ハローワーク通いの中で一般企業で経験不問の所を探しては書類を送り続ける毎日だった。
(前職が専門職だったが、違う仕事をしてみたいと思っていたのだ)
そんな中、隣の駅に本社のある会社から面接に来てくださいとの連絡が入った。
特にその職種に興味があった訳じゃないけど、とにかく経験不問だったから応募しただけだった。
会社を訪れると、中に通され、椅子を勧められた。
わたしより少し上かなと思われる女性が面接官だった。
「江口さんは前職は〇〇だったようですね。その他にやってきた仕事は?」
「特にはないです」
「?この業界、関わりがあったとか?」
「ありません」
「??未経験なのに応募してきたの?」
「はい」
…明らかに不服そうな面接官。多分溜息ついてた。
「…結果は後日ご連絡しますので」
…無理なやつだろそれ。わたしでもわかるわ。
っていうか…
書いてあったよね。経験不問って。
その時は何も言えなかったけど、経験不問、初心者大歓迎、って書いたなら書類通したそっちが問題だろがい!!手間とらせんなや!お互い一つも得しないだろうが!!!
そう思えるようになったのは実は最近で、同じような体験をした方のブログ記事をいくつか読んで、結構こういうことあるんだなと思ったからである。
10年近く前の話だから今はどうなのかわからないが、経験不問と書いたからには本当にそういう人間が来るのは当たり前だぞということを声を大にして言いたい。
「経験不問とのことでしたので新しい職種にチャレンジしてみたく応募させて頂いたのですが、どうやらお呼びでなかったようですね、時間の無駄ですので帰らせて頂きます。履歴書の返却をお願いします、あと、ど素人に来て欲しくなければ経験不問などと書かないでくださいね、時間の無駄なんで」
…こう言って帰ってやりたかったわ…。