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浄化してしまいたい

思い出したくない嫌〜なエピソードをネタにして浄化する

なっちゃん

時は40年近く前の保育園時代に遡る。

学年一背が高く、自分より太っている子が男子に一人しかいなかったのにもかかわらず、背の順では2番目か3番目の痩せっぽちだったなっちゃんと、わたしは何故かいつも一緒にいた。

いつもなっちゃんにくっついて遊んでたし、なんならなっちゃんのいいなりになってたところもあった気がする。

ある日、みんなで粘土あそびをしている時、誰からともなく「お店やさんごっこ」がはじまった。そのお店やさんごっことは粘土で作った商品を粘土で作った通貨で買う、という、側から見たらただ粘土を交換してるだけの意味があるんだかないんだかわからない取り引きなんだけど、当の自分たちはめっちゃ盛り上がっていたのだ。

何故そんなに盛り上がってたかというと、よっつんという、小柄でお調子者の男児がまあ気前が良くて、何故だか粘土で作った小さな商品の倍くらいでかい通貨(の粘土)で毎度買ってくれるので、よっつんとお買い物ごっこをすると、手持ちの粘土が増えてゆくのだ。

そうなるともう大変。

みんなよっつんとお買い物ごっこをしては、ホクホクしていて、今考えるとよっつんなんでそんないっぱい粘土持ってたの…?と疑問に思うほど。

しかしそんな楽しい時間を遮るようにえらい剣幕でこちらに歩み寄る女児。そう、なっちゃんだ。

なっちゃんは何故か自分を睨んだまま言い放った。

「お買い物ごっこ、中止!」

…え?なんで??

ポカンと聞いていた自分になっちゃんは続けた。

「よっつんがお買い物ごっこ辞めたから!」

…なるほど。そうか、よっつん辞めたら粘土バブル弾けちゃうしなぁ…なんて妙に納得しそうになった気がするけど、問題はそこじゃなくて、なっちゃんが始めた訳でもない、大盛り上がりを見せたお店やさんごっこを、なっちゃんひとりの権限で辞めさせることができるの?

そしてそれをなんでわたしにしか言ってこないの…?

 

なっちゃんはわたしにだけ厳しかった。

 

要するに、鈍臭くて何も言い返さないわたしにだけしか威張れなくて、そんな指令(?)をわたしにだけ下したのだ。

その後お店やさんごっこが本当に終わったのか、なっちゃんの中止宣言を受けてなお続けたのかは定かではない。

 

本題はここからだ。

基本なっちゃんはわたしに対していつも命令口調だったし、わたしも特に文句も言わず従ってたのだが、ある日例の如くえらい剣幕で近寄るなっちゃん

「一緒に来て!」

有無を言わさず廊下へとわたしを導いて下駄箱から誰かの上履きを取り出し、

「これゴミ箱に捨てて!」

そう言ってその上履きを渡そうとした。

 

わたしはそれを受け取れなかった。

 

鈍感で内気な木偶の坊なわたしだったけれど、流石にそれに簡単に従うほどバカではなかった。

なっちゃんは自分の手を汚さずにいけすかねぇ奴の上履きをゴミ箱に捨てようとしたのだ。

 

わたしが困っていると「早く捨ててよ!」とさらに強い口調で捲したてるなっちゃんに、木偶の坊のわたしが今まで感じたことのなかった感情が湧いて、気づいたら右の肩でなっちゃんをうりうりと押していた。

 

何故…?

 

今思うともっとタックルばりに当たったれという気持ちなんだけど、体格の差は当時のわたしもよくわかっていたし、流石に本気で行ったらヤバイだろと察知した結果、肩でなっちゃんの胸を押しながらずりずりと数センチ前に進んだだけだった。

 

そしたらね、泣くんですよ。なっちゃんが。

 

当時の保育園なんてもう泣いたもん勝ちじゃないですか。

 

慌てて肩を離し「ごめんね、ごめんね」と悪くないのに謝るわたし(先生にみつかるとわたしが怒られるから)。

 

その後どうなったかやっぱり覚えてないけれど、上履きは捨てられなかったし先生にも見つからなかったと思う。

 

今も仲良くしているけど、しつこく昔の嫌〜なエピソードを覚えているのが木偶の坊だったわたしの唯一の密かな仕返しだったりする。